あいつを泣かせるもの。 あいつを苦しませるもの。 そんなものはいらない。 ―――あかりは俺が守る。 そう思いながら男の首を掴む腕に力を込めていると、背後から柔らかな声がした。 「―――竹中さん、殺しちゃ駄目…!」 その声に我に返った俺は男から手を離す。 男はむせながら一目散に走り去り、この場には呆然と立ち尽くす俺とあかりだけ。 ………自分の感情を制することができなかった…?