主の目指す天下に向けて、どんなに小さくともその黒い芽は摘まなければならない。



「…残りの者共の始末は任せる。最後は火を放ち、他の連中への見せしめにするように」


電光石火。
一瞬でその男の首をかき切った俺は、集落の様子を見て回るために部下にそう指示を出して歩き出した。


血の香り。
炎の揺らめき。
今の俺にはどちらも毒だ。
…命の終わりを告げる鮮血を彷彿とさせる。



「………川、か」


ふと耳を澄ませば、水飛沫の音がする。


俺は、いつの間にかふらりと集落の外れに見えた川に向かっていた。