同じ言葉を操りながらこの時代の書物を記す表記方法は俺の時代と異なるらしく、苦戦しながら読み進めていたため気づいたときにはもう日が傾き始めていた。 「もう夕刻か」 そう呟き、今朝見方を教えられた時計を見ると夕方の5時を指している。 『6時までには帰りますから』 そう言って笑うあの女をふと思い出し、再び書物を読み進めようとした。 「―――…!」 ここ数日形を潜めていた病魔が、ここぞとばかりに俺を襲ってきた。