その声が。姿が。
今にも俺の理性をぶち壊そうとしていることなんか、あかりはわかってないだろう。
ここは戦乱の世で、俺だって武人の端くれ。いつ命を落とすかわからないのだ。
…だから今すぐにあかりを抱いてしまいたいと思う感情と、性急に事を進めて泣かせたくないと思う感情が心の中でせめぎ合い、今こうやってあかりのそばにいても葛藤が続いている。
あぁ、なんて女々しいのだろうか。
「…あかり」
部屋に戻り、俺はあかりを背中から抱きしめた。
一瞬身を竦ませたあかりだったが、すぐに俺に身体を委ねる。
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