石田の言葉に背筋が凍った。


俺のことをそんな風に呼ぶ女など、俺は1人しか知らない。



「………名前は!?その女の名前は聞いていないのか!?」


「も、申し訳ございません!失念しておりました。…というのも、牢に入れて以来女はぴくりとも動かないのです」



いきなり声を荒げる俺に、石田は慌てた様子でそう告げた。


………まさか!?


気づけば石田がいることも忘れ、俺は地下牢へ走り出していた。


戦装束の中で俺の心を映すように揺れる指輪。
それに導かれるように。