今夜はやけに月の光が強い。 まるで我々に何かを伝えようとしているようだ、と考えながら俺は石田の後を歩く。 「―――で、その女というのは何か言っているのか」 地下牢までの道中、俺がそう訊ねると石田は足を止めた。 何か都合の悪いことを聞いたのか、と思いもしたがどうやらそういうわけでもない。 「得体の知れない女です。命乞いをするわけでもなく、かといって怯えていないわけでもなく。…ただ、半兵衛様の名前を呼ぶばかりで」 「私を?」 「はい。“竹中さん”と」