―――城に辿り着いたのは小田原を発ってから2日後の夜のこと。
門番に馬を預け、手紙の差出主である部下の石田三成の元へ向かった。


胸騒ぎはまだ止まらない。むしろ、強くなるばかりで。






「………半兵衛様!お知らせくだされば私から出向きましたものを」


石田の自室はまだ灯りが灯っていて、いきなり襖を開けるとこちらを向き、走らせていた筆を止めてそう言う。



「…地下牢へ向かう。石田もついてこい」


「はっ!」


短く返事をすると壁に立てかけてある自身の日本刀を手に取り、袴姿の石田は俺の前を歩きだした。