学校が終わり、私は家に帰る前に彼の家に向かった


「おじゃましまーす」


合鍵を使って少しボロいアパートのドアを開ける


「お、いらっしゃーい」


「なんだ、いたの」


「おう、俺の部屋だしな」


そう言うと彼はニカッと笑った


1Kの部屋のテレビの前に敷いてある布団から彼はうでを伸ばした


「のどかぁ おいで」


私は照れながらも彼のところへ行った


私の彼、後藤翔馬(ごとう しょうま)はいわゆるフリーター


コンビニ、居酒屋、カラオケでバイトをしている


デートはほとんどしない


彼に無駄なお金を使わせるほどデートがしたいわけじゃない


「なあ、和」


「ん?」


「和さ、俺と別れたら、とか考えたことある?」


「え?なんで?」


私は驚いて起き上がった


「うおっ!急に起き上がんなよ」


「あ、ごめん」


私はもう一度布団の中に入った


「あ、いやさ・・・俺ってフリーターじゃん?」


「うん」


「で、和は中学校のカウンセリング教師」


「うん」


「なんか、世界がちがくね?」


「は?」


彼が変なことを言うので私は大声を上げてしまった


そんなことは気にせず翔馬は話し続けた