彼は四年の杉坂先輩。爽やかで笑顔が素敵な人。それが第一印象だった。


その後、広い校内を案内して貰いながら、フォトサークルを見学した。


案内されたサークルの部室には沢山の写真が飾られていた。

空の写真や、花、先生の顔だったり様々。

私はぐるりとその素敵な写真達を見回る。

「本当に素敵ですね。まるで時が止まったみたいで。…こんなにも鮮やかに残るものなんですね。」


「シャッターをおろす瞬間ひとつで、全く違う画(え)になるからね。まさに時の断片だよね。」


先輩はふと、お気に入りのカメラを大事そうに手に取ると、私にそっと差し出した。


「撮ってみる?」


「え!いいんですか?でも、大事なカメラなんじゃ…」


「うん、まあね。でも金原さんになら、凄く良い画撮れると思うんだよね。一日貸すから、好きなものを撮ってみると良いよ。」

そう微笑むと、先輩は丁寧に使い方を教えてくれた。