*゚.·。

「…その子が…私…?」


大貴はゆっくりと頷いた。


「覚えてなくて当然だ。俺も由羽(ユウ)も随分小さかったからな。」


そう言うと、強く強く抱きしめた。

「ありがとうな…由羽と過ごせて、本当に幸せだった。」


それはきっと最期の言葉だと、私の胸がざわつかせる。



「大貴…嫌だよ!一人にしないで…行かないでよぉ!私が、私があんな事したから…だから…」

「ううん。これでいいんだ。いつかはこうなる定めだった。

だから泣くな…。

最期くらい…笑って欲しい…。」


そう言って、大貴の指が優しく涙を拭っていく。


だけど涙は止まる事を知らない。次から次へと溢れ出して、大貴の顔も滲んで見えない。


「…っ…っ!」


大貴が消えてしまわないように、私は必死でその姿にすがりつく。


そんな私を見てか、鼻を小さく鳴らすと大貴が力一杯私をはがした。

大貴の潤んだ大きな瞳が、私をとらえる。


「無茶…するなよ…?由羽は危なっかしいから…。」