「琉稀って……時々言葉遣いが悪くなったり紳士みたいだったりなんで、そんなごちゃ混ぜなんですか?」
前の時から思ってた。
じゃないよって言うときとじゃねーよって言うときとか、まだまだ色々あるけどどうも引っ掛かってた。
私は琉稀を見ると、一瞬驚いてからフッと笑った。
「兎は……まだ初めて喋ってからまだそんななってないのに、すごいな」
「え……?」
「オレさ、本当は紳士とかそんなの全然キャラじゃねぇんだよ」
その一言で琉稀の抱えているものが何となくわかった。
「言葉遣いも別によくねーし、勝手なイメージが作られてて気付いたら自分はそのみんなの望むそのイメージのオレができてた、要は……
学校のオレはオレではないんだよ」
「…………」
琉稀が琉稀ではない。
琉稀は勝手なイメージをつけられてきっとそうしないと、期待に応えないとと思ったんだ。
気付いたらさっきとは違う哀しい瞳(め)で笑う本物の琉稀がいた。


