そんなオレの前に現れた一人の女。

それが兎。


オレはあの時今までに感じたことのない感情がオレを侵食(しんしょく)した。

女にちゃんとハマったことがないオレ。



「兎に会いたい……」

多分重症。

オレが会いたいとか、キャラじゃない。

寧ろいつも女の方が会いたがるからこんなの思ったことない。



他の女と違う、兎。

オレが瞳(め)に映ってない、兎。

なんだか、うずうずする。


「絶対、兎の瞳(め)にオレを映させる」

絶対兎がほしい。

兎に好きになってもらいたい。


あの、古瀬とかいうヤツに負けない。

同じクラスってのは気に食わないけど。


「でも、兎は友達って言ってたしな」


きっとスタート地点はアイツと同じだ。



負けず嫌いのオレ。

兎だけは譲らない。