『さっき……トイレの場所教えてくれてありがとうございました!』


それだけ言って乃咲兎は走って行ってしまった。




『…………』


声が出なかった。


その場にしゃがんで自分の髪の毛を搔く。



『あの笑顔は反則だろ……』


ニコッと上目遣いで笑った顔はすげぇ可愛くて一瞬でオレの心を奪った。


笑った顔、赤くなった顔がオレの頭から離れなくて、

ほんと純粋に可愛くてほんの数分しか喋ってないのにもっと知りたいと思った。



『乃咲兎……か』


来年この高校に入ってくるなら、

オレはお前が欲しい。



『また、会おうな……』



今まで好きなヤツなんか出来なかったのに、簡単に目を惹いたアイツ。


オレはその時から、兎に恋をしてた。


━━━━━━━ 琉稀SIDE おわり