舞台はロンドン。

まだ魔法というものが存在する時代に、この物語はあった。

ある年若いガラス細工の職人がいた。

まだ見習いの職人で、売り物に出せるほどのものを作ることが出来なかった。

ある日、その職人は猫の男爵と猫の婦人を作った。

とびっきり上手というわけではないが、綺麗な作品だった。

2人はいつも寄り添って、仲良く幸せに暮らしていた。

しかし、戦争が起きてしまった。

ひどい内戦だった。

そして、2人はばらばらになってしまった。

また、会える日まで・・・そう信じて月日を過ごした。

20年後・・・2人は再会した。

それは運命的な出会いをした。

伯爵はイギリスの一番南にある貧乏な家の年若い男のもとに、婦人はロンドンの豪邸に

住む男より少し下かと思われるお嬢様のもとにいた。

その2人は恋に落ち、結婚した。

2つの猫の人形もずっと一緒に暮らした。

赤い糸・・・偶然は必然。

信じる力は運命までも取り込んでしまうものであった。