鬼の姫君

吹雪く雪を通り抜けて私と平助君は屯所に向ってただ走る。



私はその途中一度だけ後ろを振り返った。




後ろでは小さくなった斉藤さんや総司君、あの人が居た。




どこかで、確かにどこかで私はあの人に会っている。




体の奥底が疼くこの感じ。私は知っている。



でも、一体何処で・・?何処で私はあの人に・・。



頭の片隅でチラつくその記憶の欠片を私はただ、必死に手繰り寄せていた。