鬼の姫君

「貴方、誰?」


そう尋ねるだけなのに、とてつもなく声が震えた。



『それを答えるのは、後のほうが良さそうだ』



そう言いながら、私の手を引き、体を起こさせながら彼は視線を此方へ向けた。





そうだ。今、ここにはヤツラが居たんだった。



この人があまりにも存在感があるものだから、スッカリ忘れていた。




『悪いけど、彼女を今すぐここから連れ出して欲しい』



そばで戦っていた平助君にそう言った彼?で、いいのかな?


とにかくその人の言葉に平助君はかなり訝しげにしながらも私の方へ走ってきた。


「よくわかんねぇけど、今はアイツの言う通りにした方が良さそうだ」


そう言って平助君は私の手を引っ張って走り出した。