鬼の姫君

「数、多すぎだよねっ!」



総司君の言うとおり。今ここにはヤツラが4体も居る。



一人一体ヤったとしても、まだ一体残っている。



3人はとにかく今、私を逃がすことに集中してくれているみたいだけど・・・



駄目だ。逃げられない。



目の前が絶望で真っ暗になったその瞬間、降り積もった雪に足が滑った。


「キャァッ」


足袋の下から雪の冷たさが染みてくる。


「美里ッッ!!?」


慌てて平助君がこちらへ駆け寄ろうとしたけど、その平助君に再びヤツラが襲い掛かる。



逃げなきゃ、にげなきゃ、ニゲナキャ・・・


頭の中を色んなものがグルグルと廻っている。