鬼の姫君

「ハァッ ハァァッッ 」


息を荒くして、視界の悪くなった街を走る走る。



「平助!速く美里を連れて行って!」


「わぁってる、よっ!」


「クッ、やはり俺たちの力では敵わないか・・」


「敵わなくても、やるしかないで、しょ!!一君?」


「そーだぜ一君!」


「そんなことは分かっている!平助は速く連れて行け!」



夜の闇に染まり始めた街に吐く息としんしんと降る雪の白さが目立つ。


既に陽はほとんど沈んでしまった。


光に慣れていた目が暗くなり始めた景色に慣れない。