鬼の姫君

「確かに。全くあの人を鬼と呼んだ人を僕は褒め称えるよ」


それに便乗した総司君。斉藤さん・・は未だに自責の念に駆られている。



まぁ、土方さんを尊敬している斉藤さんが聞かなくて良かった。



「確かに!あの人に鬼なんてピッタリだよな!美里もそう思うだろ?」



確かに、土方さんはとても恐いし空想上の生き物である鬼はとても恐いといわれているし・・・


ある意味ピッタリなのかもしれない。



・・・だけど。


「ごめん、あんまり思わないかも」



だって、私は知っているもの。


「えぇー!?何でだよ美里?」


「僕もあれ程土方さんに当てはまるものはないと思うけどなぁ」


二人が口々に言っている中、私は遠くを見ながら思い出すように、懐かしむように小さく笑みを浮かべた。



「だって・・鬼はとても優しいから・・」


風にかき消され上手く聞こえなかったみたい。


二人は首をかしげて不思議そうな顔をしていた。