音が聞こえた。 とてもなつかしいあの音…。 ふとそちらを見ると向こう側の窓のなかに音の主はいた。 あの頃の俺を鮮明に思い出した。 そんなに昔の話ではない。この間までは俺もああやって、良い音をだす努力に励んでいた。 ただ思い出したくなかった。 俺は窓を閉めた。でも聞こえる。止まっていた足をさっさと進め、 昇降口へと向かった。