そこにある宇宙

 唐突に疾風を突き放し、ルイは背中を向ける。

「勝手にすれば!」

 正対しては言えない。

「一人で行きたいんなら、勝手にしなさいよ!」

 そのまま出て行こうとすると、疾風が困ったように呟く。

「う〜ん、ルイは手伝ってくれないのかあ…オペレーター探さないと…」

「…は?」

 間の抜けた声。

「おぺれーたー?」

「ああ、パラレルワールドは異世界と言っても全くの別世界じゃないからな。向こうでの行動がこっちに影響しないか確認するためにオペレーターが必要なんだよ」

 疾風の説明によると、並行する世界は微妙に重なっていることがあるという。

「その重なった部分が、干渉しあうことがあるかもしれない」

 しかし次元転送してしまえば、疾風自身がこちらの様子を直接窺い知ることはできない。

「例え向こうの世界の龍太郎を攻略できても、こっちの世界の龍太郎が消えるなんてことになったら意味がない」