そんな疾風だから、人道を踏み外した異世界の龍太郎を力で断罪することに、寸毫の躊躇いもない。

 命を奪うつもりはない。

 疾風の目的は、龍太郎を倒すことではないからだ。

 しかし、こちらのような修行はしていないとはいえ、地力は相当なものと疾風は推測する。

「それに、取り巻き連中もゾロゾロ出迎えてくれるだろうからな」

 一人で大軍を相手にしようというのだから、狂気の沙汰と言える。

 しかし、丸腰で挑むわけではない。

 普段は思いつくまま、目的もなく創作意欲を満たすだけだが、今は違う。

 戦うため。

 そのために、様々な武器を疾風は作り出した。

「さすがに全部持っては行けないでしょ。どうするの、これ」

 冷たく光る真新しい装備品を一瞥して、ルイは尋ねる。

 聞いてどうなるものでもないし、そんなことを聞きたいわけでもない。