「…どういう意味ですか?」
俺の言葉が震えていた
峯岸さんは一度コーヒーを飲む
「…禁断の森にあった、地底の穴は知ってるよな?」
地底の穴
魔界の底には、限りない濃い密度の障気という毒が満ちている
その障気が少し空いた穴から魔界に漏れていて、そのおかげで魔族は強靭な肉体を手に入れたとされている
毒も薬になる…そんな感覚だ
「その地底の穴が、大きくなったんだ。」
「えっ?」俺は驚きを隠せなかった
あの穴は魔界が生まれたときからずっと変わらなかった
誰も入らない禁断の森の深くにある筈なのに…
「その分魔界に噴き出す障気の量も増える。そうすれば魔界は障気に包まれ、やがて地上や天界も覆い尽くすだろうな。」
「…そんな事になったら、人類は滅びるんじゃ…。」
毒素が充満している世界に生物が生きれる筈ない
故に、世界の終わり
「だから俺達上級魔族に穴の閉鎖の義務が与えられた。全員、強制収集だ。
分かったろ、真田?」
…成る程
だから峯岸さんが地上に来たのか
障気が、世界を覆い尽くすなんて…
「お前の力は必要とされてんだよ。お前の大切なあの二人を護りてぇなら、やるべき事は分かってるな?」

