響き渡る声
その声に俺が振り返ったのと、声の発信源が門を軽々飛び越えて
華麗に着地したのとはほぼ同時だった


「よっ、おはよう大地。」


「朝から華麗過ぎるだろ、風。」


俺の呆れた言葉に、少年ーー真田風はフッと笑った


「つうか、良いよな風は。俺なんか全力疾走してギリギリだったのにさ。」


「お疲れさん。」


風はグシャグシャと俺の頭を撫でた
俺はその手を強引に振り払う



真田風

俺の昔からの幼馴染みで
魔界に住む、魔物を治める…魔族の一人
俺とは違う尖った耳がその証拠

そして…今門を軽々飛び越えた身体能力
魔族は肉体の発達が早い



「あーあ、一度くらい俺にもそんな身体能力つかねぇかなぁ?」


「大地には無理だろ。」



「何だよ!」からかった風に仕返しを試みるが
風はそんな俺の攻撃をユルリと避ける


そんなこんなしてると、いつの間にか教室に着いた

1つ年上の風とはここで別れて
俺は教室に入る



「おはよ、大地。」