「痕跡がない?」


この事実が、意味するもの



「抵抗する間も無く殺されたって事か…。」



風の言葉に亜未はゆっくり頷いた
二人とも、信じられていないみたいだ



「けどさ、相手は天使だぜ!?しかも亜未が言うには、かなり強い奴なんだろ?
なのに、ソイツ相手に…。」


有り得ない
どんな化け物だよソイツ


「それか、顔見知りの犯行っていう可能性もある。まだ断定は出来ねぇけど…。」


「そうだよね。でも、先輩が誰かに恨まれてるなんて…。」


亜未はもう一度手を合わせた
どこか手が震えていた



「あ、すみません!!」



風は偶々通りかかった主婦二人に話しかける
俺達も後を追った



「あの、昨日起こった事件について何か知りませんか?」