「ここが、現場だ。」
土曜日のお昼過ぎ
俺達は、天使が襲われた現場に来ていた
「住宅街の外れ、か…。」
「あぁ。平日の昼だったからか、目撃者は誰もいないらしい。」
目の前には立ち入り禁止と書かれた黄色のテープ
亜未はその場にしゃがみこむと、目を瞑って手を合わせた
俺達も亜未の真似をする
…ここで、1つの命が散っていったのか
「かなり綺麗な現場だな。何かこう…もっと血とかあんのかと思った。」
「最小限に出血を抑えたって事か、それとも出血無しの殺害方法だったのか…。どちらにしろ、犯人は素人じゃないことは確かだ。」
風の言う通りだな
目撃者を出さずに、天使を殺せるなんて鮮やか過ぎる
「…ねぇ、1つ気になる事があるんたけど…。」
「何だ、亜未?」
亜未は立ち上がって、現場を見渡した
「今、力の痕跡を探してみたんだけど…ここには先輩の力の痕跡が1つもないの。」

