SIDE美麗 『ホストーカー』



麗羅は、目をそらしてただ、連れて行かれる私を見守るだけだった。


何が「幸せになれ」よ?


この前まで私を閉じ込めて

毎日可愛いって言ってキスをして居たのは誰?


他の男を見るなってしつこく束縛して来るのは誰?



本当に、勝手、本当に。




勝手に涙が出た。



「バカ麗羅…。」



久しぶりの外の光が眩しく、目を細める。


まるで、物の様に黒塗りの高級車に投げ出される。


車が向かったのは無駄に広い何年ぶりかの実家だった。



「明日、見合いに参加しろ。」


家に着くとそれだけ言ってまた外に出た。


久しぶりに会いに来たかと思えば、結局私はただの道具扱い。


悔しくて、悔しくて、何度目かもうわからない涙が出た。



「麗羅…、助けに来てよ…」


小さく小さく、呟く声はあいつに一生届くはずが無いんだ。