「ねえ、なんで逃げたの?」


「…」


声が出なかった。


手が、震える。
足が、震える。


それ程の狂気を感じる。



「ここについてるの?何かわかる?」



唇をスッと指で撫でられる。



「話してくれる?」


話したくても、

唇が動かせない。


「じゃあ、質問変えようか。


何で勝手にここに来た?」



ごめんなさい

声を発することはできなかったが


唇が動く。


そして、その動きをどうやら麗羅は読み取った様。



「ごめんなさい…?

ククッ、いつもだったら許すかもしれない。でも、今日は、ごめんね。」