「あっら、コウ!!偶然じゃない!」
私は声を一オクターブ高くして、コウに近付いた。
当然コウさんは訳もわからずって感じにポカーンとしている。
「コウ、覚えてるよね?私のことぉ?」
コウさんは、私を昔の客だと勘違いしたのかノリを合わせてくれた。
「も、勿論ですよ。」
「ねぇ、君。」
いきなりのコウさん登場にびびったのか完全に硬直しているガードの硬い彼。
「…入れてくれるよね?」
「す、すいませんでした!!!」
体を90度に曲げて謝ると、直ぐにガッシリとした構えの門を開けてくれた。
「ふふっ、良かった。コウ、一緒に行こうねぇ。」
コウさんの腕に自分の腕を絡ませて、騒がしい夜の世界に飛び込んだ。


