「え、あ、は、はい・・・」


言われた通り、小指を出す。

すると、家出青年は私の小指に自分の小指を絡める。


「ゆーびきーりげーんまん、嘘つーいたら
針千本のーますっ」


家出青年は楽しそうに、“契約”を交わす



「指切った!
じゃぁ今日からよろしくね、お姉さん
あ、敬語いらないから」



「・・・うん」



契約するほどのことでもない気がするけど・・・・・・まぁ・・・いっか




「お姉さん、名前は?」




「三滝 鈴。あなたは?」



「んー・・・鈴ちゃんがつけてよ」





名前つけろって・・・・・・
そんなすぐ思いつかない。

自分の名前言えば済むだけじゃ・・・・・・





「・・・思いつかない」


「えぇー。適当でいいんだよ。1週間しか使わない名前なんだから」





・・・・確かに、今真剣に悩んで名前をつけたとしても彼とは一週間だけの関係。




1週間経てば、私の前から消えちゃうんだ



「・・・・颯人」




・・・昔、一度だけ好きになった男の名前。
小学校の時の初恋の相手。
告白せずに終わってしまった。
彼とその初恋の相手を重ねるのはよくないことだと思ってる。
彼の颯人は違う。
でも・・・1週間だけ許してください。




「わかった。今日から俺は颯人」



「・・・うん」


「決まり~」