鍵をかけて、鍵を郵便受けの中に。
颯人は鍵を持ってない。
一応、ここにいれておけば気付くかもしれない。
だから、寒くなってもずっとここで待ってるようなことはほとんど・・・・・・ないはず。
キーホルダーを郵便受けの所に挟んでおいた。
1日ぶりに仕事に向かうのは少し新鮮に感じた。

こんな気持ちになるのは、入社以来・・・・・?



「おはようございます」



「あぁ、三滝君。ちょっと・・・・・」



・・・・・いつも通りの朝。
今朝のことを忘れてしまいそうな忙しさだった。



「・・・・・ハァ」


会社に友人はいない。
休み時間も昼食時も常に1人でいる。



「・・・・よしっ。あと少し」



夜。
残業を1時間半したが、無事本日の仕事は終了。

帰り道。
スーパーが目に入った。


・・・・・・颯人と一緒に来たスーパー。



「・・・・・帰ろ」



別に買うものなんかないし。
足早に、家に向かう。



「・・・・・いないし・・・・」



家のドアの前に立つだけでわかる。

・・・・・鍵のキーホルダーが動いた気配ないし。

家の中に入っても、いなかった。

まぁ、それが当然なんだけど・・・・・。



「・・・・・卵・・・・冷たい・・・」



冷え切ってしまった目玉焼きがキッチンにポツンと置かれていた。


「・・・・・颯・・・人・・・・っ」