イサムは煙草を1本出した。

カチッ


横でライターの音がした。


「ほんま,ありがとうございます」

ピンクのドレスの女の子がイサムの煙草に火をつけた。

「あ。。。いや。。。ありがとう」

イサムは女の子を凝視した。

ピンクの淡いロングドレス。
明るいロングヘアーの巻髪。
ばっさばさの睫毛。
艶のある唇。
ドレスの胸元から見える谷間。
甘い香水の香り。
薄い小麦色の肌がキラキラしている。

「あかん!仕事遅れてまうわ!」

女の子はキラキラした腕時計を見て,鞄から名刺入れをとりだした。

「ほんまありがとう!ちゃんとお礼したいからよかったら連絡してください」

イサムは無言で名刺を受けとった。

「ごめんなさい!ほな,また!」


女の子は高いヒールお構いなしに走っていった。

「。。。あい。。。ら?」

残されたイサムは,呆然と名刺を見つめていた。



ピリリリリ

携帯の音でイサムは我に返った。

「イサム!何しとんじゃぼけ!」

「マサキ。。。」

「もう全員集まっとおで!」






「お七や。。。」

「はあ?」

「。。。夜桜お七に会うたんや!」