「よかったら、今から一緒に行ってみる?」
「はい!」
「調子の悪い牛がいてね。今日行く酪農家はおもしろい奴でね。僕より一つ年下なんだけど。よく飲みに行ったりするし、友達みたいな奴だから」
「そうなんですか」
「準備するからここで待っててくれる?」
浅井は器材を積み込むために隣の車庫にあるらしい車と病院内を慌ただしく往復している。
時々、立ち止まってアゴひげを触りながら天井を向いて考えるような仕草をすると何かを思い出したように戸棚や冷蔵庫にある薬品を取り出した。
しばらくすると、積み込みが終わったようで浅井は壁に掛けてあった薄汚い白衣を着ながら「じゃあ、行こうか」と声をかけた。
車庫には白い軽自動車のバンが停めてあった。両サイドのドアと後ろのドアに「浅井家畜病院」と書かれていた。手書きではなかったのでちょっと安心した。
酪農家までは車で15分くらいかかるらしい。
「私ね、これでも獣医さんを目指していたんです」
車が走り出してから結子は言った。
「へえー、そうなんだ」
「でも、頭悪いから諦めましたけど」
「最近は女性の獣医師がスゴク増えて、半分は女性なんだよ」
「え?そうなんですか」
「女の子はよく勉強するから獣医の大学の偏差値が上がってしまって、なかなか難しいらしい」
車は市街地を抜けて田んぼや畑が広がる道を進んでいた。
もうすぐ、田植えの時期が始まるので、水を張っている田がチラホラと見える。陽の光を反射してキラキラと眩しい。
「獣医さんって、外科も内科も産科も、全部やるんですよね?」
「はい!」
「調子の悪い牛がいてね。今日行く酪農家はおもしろい奴でね。僕より一つ年下なんだけど。よく飲みに行ったりするし、友達みたいな奴だから」
「そうなんですか」
「準備するからここで待っててくれる?」
浅井は器材を積み込むために隣の車庫にあるらしい車と病院内を慌ただしく往復している。
時々、立ち止まってアゴひげを触りながら天井を向いて考えるような仕草をすると何かを思い出したように戸棚や冷蔵庫にある薬品を取り出した。
しばらくすると、積み込みが終わったようで浅井は壁に掛けてあった薄汚い白衣を着ながら「じゃあ、行こうか」と声をかけた。
車庫には白い軽自動車のバンが停めてあった。両サイドのドアと後ろのドアに「浅井家畜病院」と書かれていた。手書きではなかったのでちょっと安心した。
酪農家までは車で15分くらいかかるらしい。
「私ね、これでも獣医さんを目指していたんです」
車が走り出してから結子は言った。
「へえー、そうなんだ」
「でも、頭悪いから諦めましたけど」
「最近は女性の獣医師がスゴク増えて、半分は女性なんだよ」
「え?そうなんですか」
「女の子はよく勉強するから獣医の大学の偏差値が上がってしまって、なかなか難しいらしい」
車は市街地を抜けて田んぼや畑が広がる道を進んでいた。
もうすぐ、田植えの時期が始まるので、水を張っている田がチラホラと見える。陽の光を反射してキラキラと眩しい。
「獣医さんって、外科も内科も産科も、全部やるんですよね?」
