「・・・あ、れ・・?」



目を覚ますと、私を囲んで見下ろしている皆と目が合った。
黄色い太陽がまぶしい。




・・・なにが、どうなったんだっけ・・・?





「・・・っの馬鹿!!心配かけさせて・・っ」
「そうですよ、怖かったんですからっ!」

陽子と乃架ちゃんが、涙ぐんで私を抱きしめた。
ささくんも、ほっとした様子で私を見つめていた。




「よかったわ・・いっちゃんが無事で・・。」
「みたいだね。・・・おーい、文人、いつかちゃん目ェ覚ましたよー!!」



加奈先輩も私を優しい笑顔で見つめ返してくれた。
ふじ先輩は、少し遠くにいるらしい木原くんを呼び出している。



「あ、あの・・・私、もしかして溺れました?」
「そうですよー、いつか先輩!!乃架が発見しました!びっくりです~」
「そうだったんだ・・・ありがとう、乃架ちゃん」



いえいえ、と乃架ちゃんが笑う。
陽子は私を見て、どこか具合悪くないか、怪我がないかと何度も聞いてきた。




「乃架に言わなくていいですよ?それより木原先輩に言ってください!」




木原くんに?と私が不思議そうにしていると、
加奈先輩が、私のおでこにひんやりとしたペットボトルをあてながら言った。




「ふみくんが助けたのよ~?溺れたいっちゃんのコト。」


にこ、と屈託のない笑みを浮かべる。








・・・って、今なんて・・・・?








(木原くんが、私のこと───?)





「ほら、文人。こっちこっち。いつかちゃん元気そーでしょ?」
「あー・・そう、っすね。・・大丈夫だったか、朝野?」
「えっ、あ・・・う、ん・・助けてくれて、ありがとう木原くん」


いや、別に。と木原くんはそっけなくシートに戻ってしまった。





とくん、とくん、と心臓が音を立てる。
どうして、気付いちゃったんだろ、私───






今の私は、きっと、ささくんよりも───・・・。