「はあ、水着って着替えるの大変だよねー」

さっぱりとした口調で、水着に着替えた陽子がやってきた。





「あ、そこで飲み物買ってきたんで、よければ先輩方どうぞ」
「悪いね、陽子ちゃん」「ありがとお~」


ふじ先輩はここまでずっと車を運転してきてくれだし、
加奈先輩は日に弱いので、飲み物を買ってきたんだろう。




陽子ってば気が利くなぁ。と思いながらその様子を眺める。





「今更衣室のほう開いてるんで、着替えてきていいですよ!ここ、見てますので」


陽子はそう言って、シートに座った。




「じゃあ、お言葉に甘えて。ふじくん、行きましょうか~」
「うん」



二人が仲良く更衣室へと向かっていった。






(加奈先輩とふじ先輩、付き合ってるのかな?)






「いつか先輩、そんなことも分からないんですか~?」


小悪魔っぽい声が、背後からして私はまた驚く。


「のっ、乃架ちゃん・・・っ!?・・ていうか今私の心の中読んだっ!?」
「乃架ほどになると、読心術くらい心得ていますよ!」


ふふん、と得意げに乃架ちゃんは笑う。
隣に居たささくんも、すげーと声を漏らしている。



「どう見ても、ふじ先輩の片思いじゃないですかぁー。加奈先輩は無意識で振り回してるんですよぉー。
乃架には分かります。・・・加奈先輩、私と同じ匂いがしますっっ!」



お、同じ匂い・・・
でも言われてみれば、ふじ先輩は加奈先輩のこと好きっぽいなぁ・・・



「じゃー乃架も飲み物買ってきますねっ!」
「あ、うん・・迷子にならないでね!」
「なりませんよぉー!」






ぷぅ、と乃架ちゃんは頬を膨らませながら飲み物を買いに行ってしまった。