『捨て猫なんだよね・・飼いたいけど・・・私の家、お母さん動物アレルギーなんだよね・・』



残念そうに彼女は肩落とす。



『俺飼おうかな』
『ほ、ほんとにっ!?』
『・・・さすがに家は無理だけど』
『え??』


どういうことか分からない、という顔をした彼女。
俺はさっきまで入ってたダンボールを指差す。


『ダンボールじゃ寒いから、小屋作って毛布とかクッション入れたら何とかできないか?』
『出来るかも・・・!』




彼女は楽しそうに相槌を打つ。




『その間に飼い主探せばいいか』
『あれ、飼うんじゃ・・・?』
『大学卒業したらこれないからな・・・』
『あ、そっか・・・』








彼女は少し残念そうにしてたけど、それが当時の俺にとっては最善な気がした。





・・・それから、俺は彼女とよく猫の世話をした。
そして仲良くなって、俺から告白した。彼女は即答でOKしてくれたっけ。




「にゃー」
「あ、・・・悪い、餌だったな」




皿にカリカリを入れてやる。
すると満足げにそれを平らげる。








昔のことはもう忘れよう。
思い出してたっていいことなんて一つもないんだから、な。