手を伸ばせば、届く距離まで。




橘の本当に嫌そうな顔に笑いながら、カフェテリアを出た。


大通りを見渡すと、異風な2人を発見した。


「…シッター、ですかね」


「誘拐ではなさそうだ。たぶん」


温厚な顔をした、50代くらいの女性が


大切そうに、子供と手を繋いでいる。


顔と雰囲気と、衣服の趣味からして孫やそういう類では


なさそうだ。橘の言うとおり、シッターだろう。