手を伸ばせば、届く距離まで。




うん。むしろ、それしか言えない。


「あー、先輩。目的がいらっしゃいましたよ」


橘がしれっとした顔で、俺の肩を叩く。


前を見ると、ゆるく巻かれた茶髪の美少女がいた。


ガラスのような瞳と、小柄な人形みたいな姿には未だ慣れない。


―――愛桜。


会社では、列記とした実力者だが、俺としては妹ちゃんとしか言いようがない。