しかし橘はめげずに、隣の座席から身を乗り出してくる。


人が居るため、移動は憚られた。


「だって先輩、社長の妹さんですよ?」


「好き合ってないぞ」


「妹さん…愛桜さん、ですっけ、絶対先輩を好きですよ」


はあ、とため息をつく。


…んなこと言われても、なあ…。


いつ好かれ、懐かれ回られたことやら。


全く見覚えがない。