手を伸ばせば、届く距離まで。




「すみません。ご迷惑おかけしてしまって」


律儀に謝るお兄さん。3学年の色をしたスリッパを履いている。


何だ、別クラスの同級生だったのか。


俺は「いえいえ」と笑って、彼の美形に対抗した。無理だった。


なんだこの美男美女、次元が違う。


「あの、すみません。名前を教えてもらっても?」


華織が恐る恐る挙手。