手を伸ばせば、届く距離まで。




――――――



「はいはい、放送したぞ。一体どこのお嬢様なのやら…」


「ありがたい。しかし、身分は簡単に明かせぬ」


「…その口調、どうにかなんねえのかな。美女らしからねえよ」


「兄の教えだ。」


「お前は忠実な犬か!!」


そんな怒号にも動じない愛桜ちゃんは、腕を組んで頬を膨らませていた。


とことん真樹と合わないということが、華織にも察せたはずだ。