手を伸ばせば、届く距離まで。




「栗原…あんた、何で私なんかに…?能力がなかったら、他に…」


「明里さんじゃなきゃ嫌だ。他なんて言うな」


怒ったように見上げると、明里さんが立ち上がる。


蹴られると思ったが、違った


膝をついた明里さんは、座った状態の俺を抱きしめた。


温かい。


明里さんは、泣いているようだった。



「―――愛してる。私も…ありがとう、栗原」