手を伸ばせば、届く距離まで。




あ、そうだ


「さっきの人、誰?あの…トイレに行った人」


水道の音が止まり、ガチャンと扉が開く音。


さっきの人が、端正な顔立ちを見せていた。


蒼白な顔に、澄んだ綺麗な瞳が向けられる。


にこ、と笑った男の人。


…何だろ。


不思議な感じがする人だな…


華織が顔を上げて、紹介してくれた。


「この方は栗原悠先生。学校のカウンセラーの先生だよ」