手を伸ばせば、届く距離まで。




まず先に俺が口を開いた。


「…どういうこと?全部聴いてたのか?」


「ううん!話は聞こえなかったし、たった今来たばかりで」


「……………」


思わず、じっとりした目で見てしまった。


華織は「疑われている」と思ったのか、寂しくうつむく。


恋人になったからか、あの嘘な声は出てこなかった。


…良かった。