手を伸ばせば、届く距離まで。




『…俺、栗原悠だ』


『…ええ、そうね』


栗原。


天沢、じゃない。


俺は天沢なんかじゃない!


俺は殺してなんかない。


あの男子生徒を追い詰めたのは、全くの他人だ。


自立しよう。


俺は、栗原を名乗るんだ。


━━━…


それからは、周りの目など気にしなくなった。


明里さんと、理解してくれる友人も出来た。