手を伸ばせば、届く距離まで。




つらかった。


制御の仕方も分からなかった


痛みが、本物かどうかさえ分からなかった。



俺は生徒からはみ出し、仲間外れ。


そして教師に監視されたまま、卒業を迎えた。


虚しい卒業式だった。


この境遇を呪いたいくらい。


『栗原くん』


けれど。


『栗原、悠くん』


初めて、面識のない人に違う名前で呼ばれたのだ。