上着を持って立ち去ろうとして、


「あ、そうだ栗原さん」


冴子さんに引き止められた。


俺は振り返り、「はい?」と言う。


冴子さんは変わらずニコニコしていた。


「行くならもう一人、良い子がいますよ」


「…良い子?」


ちょっと不思議に思いながら、聞いた。



【栗原side終幕】