手を伸ばせば、届く距離まで。




携帯を開くと、画面には“華織”と記されていた。


緊張する手で、通話ボタンを押す。


向こうからは、すすり泣くようなか細い声が聴こえてきた。


《…圭?》


「ん。あ、ああ」


《…ごめん、夜遅くに》


珍しいな。いつもはテンション高く「夜型だから」って言うのに。


何かあったんだろうか。