手を伸ばせば、届く距離まで。




何だかんだで、久野からは威圧が吹き飛んだ。


テレビを見る様は、まさに無邪気な子供。


俺はすっかり安心して、二人分の夕飯を作りはじめた。


久野は、餃子が好きだ。特に、バリバリしたやつ。俺に出来るだろうか。


そんなことに苦戦していたこともあって、


「久野?」


久野がテレビの前から姿を消したのに気づいたのは、よっぽど後からだった。