手を伸ばせば、届く距離まで。




いやでも…時計はまだ、8時12分を指している。


「今日は、疲れててさ」


「あ、…そうか。分かった」


ライバルの俺にまで頼るのだから、よほど疲れきっているのだろう。


華織の家に行かなかった、ということは、知られたくないという事?


…詮索はよそう。


真樹だってきっと、心にねじりがあるのだろう。


完璧な人間など、ドコにも存在しない。


分かっていることだ。